辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 どうせエルには、大人の事情なんてわからないのだし。

「俺、婚約者がいて」
「結婚、する!」
「まだしないっす」
「婚約は、結婚のお約束。エル、知ってる」

 婚約と結婚の現実をエルが知っているとも思えないけれど、うんうんとうなずいている。

 年齢のわりに賢そうだと辺境伯は言っていたけれど、こういうところを見ていると年相応かもしれない。

「婚約者になんて書いてやればいいのか――」

 どうせ、左遷されてしまった身だ。ここに来てから半年、彼女もアルドのことなんて忘れているかもしれない。

 左遷されて、いつ戻れるのかもわからないのに、まだ婚約を解消してくれとは言えず――。もしかしたら、他にもう想い人がいるかもしれない。

 そう説明したら、エルは目をぱちぱちとさせていた。まだ、子供には難しい話だったか。苦笑いしていたら、エルは思いがけない言葉を吐き出した。