辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~


 季節の食材を使った料理とおいしいお酒が売り。通ってくれるのは近所の住民が大半――そんな店だった。

 母は若くして亡くなり、店は一度閉店した。母の店を受け継ぐつもりで、調理師学校に通うことを計画していたけれど、父からは大学は出ておくようにと言われてしまった。

 大学と調理師学校に同時に通ったのは二年間。

 調理師学校を卒業したあとは、大学卒業までの間、数軒の店でアルバイトもさせてもらった。そうしながら母のレシピを練習し、卒業と同時に店を再開したのである。

「今日は、タラの芽のいいのがあったから天ぷらにしてみたの」
「いいね、春の味覚だ」
「お酒は、山形県のこのお酒でどう?」

 あまりお酒は得意な方ではないけれど、本で知識を得て、少しずつ試飲して料理に合うものを集めた。記憶の中の母がそうしていたように。

「お父さんは、どうしてる?」
「仕事。今は、台湾に出張してる」