辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 メルリノの方に目を向けた女の子はびくりとし、身を翻(ひるがえ)して走りだそうとし――そしてそこで盛大に転んだ。枯葉と土が舞い上がる。

「大丈夫か?」

 慌てて駆け寄り、声をかけるも、女の子からは返事はない。ラースはひょいと手を伸ばし、女の子を抱き上げた。

「あっつ……! メルリノ、こいつすごい熱いぞ! 赤ちゃんってこんなに熱いんだっけ?」
「小さな子は体温が高い――って、これ発熱してる! と、とりあえず……だめだ、この子弱りすぎてて回復魔術も効かない。連れて帰りましょう!」
「おし、じゃあ行くか!」

 回復魔術は、身体の回復能力を最大限に高めるものである。そのため、もともとの体力が失われている者には効きにくい。

 ハッピーバニーのシチューは諦め、ラースは女の子を抱きしめた。腕の中でぐったりとしている小さな身体は、今にも生命力が失われ そうで怖い。