辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 再び呼びかけたラースは、そこで言葉を止めてしまった。

 どう見ても、目の前の女の子は魔族ではない。魔族ならば、身体の一部に人間と違う特徴を持つものだ。たとえば、羊のような角がついているとか、猫のような尾が生えているとか。

 だが、目の前にいる女の子は、人間とは違う特徴が見受けられない。ピンクがかった金髪、紫色にも青色にも見える目は、こちらをいぶかしそうに見つめている。

 顔だちは整っているのだろうが、どうにもこうにも小さくて痩せている。幼児特有のふくふくとした愛らしさは、持ち合わせていなかった。

 小さな女の子――小さいと言っても、限度がある。三歳か四歳、五歳にはなっていない気がする。

 粗末な身なりで、靴を履いていない。森の中を裸足で歩いてきたらしく、足は傷だらけだった。

「兄上、どうし――えええっ!」

 追いついてきたメルリノは、女の子を見てびっくりした声をあげた。