辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 飛びついてきたエルの温かさにほっとする。

 生きてる。生きているんだ。

「メルにぃには、今日、頑張った、から」

 厨房に卵を持って戻る。

 ただ、卵を買いに行っただけなのに大冒険だ。

 ジェナの手を借りながら、エルが作ってくれたお菓子はプリン。同じような作り方をするお菓子は、王都にはあると聞いたけれど、今まで辺境伯家には存在しなかった。

「頑張った、ごほーび。特別」

 八個作ったプリンのうち、二つはメルリノとエルのお腹の中に。

 夕食後に父と兄弟にひとつずつ。何食わぬ顔をして、メルリノとエルももう一つ。残った一個はジャンのものとなった。

「メルにぃに、は、強い。すごい」

 真っ直ぐにメルリノを見て、エルはそう言い切った。

 エルがそう言ってくれるのなら、そんなに悪くはないのかもしれない。

 今日、直接魔物と戦ってみたことで見えてきたものもある。