辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 少しずつこちらに近づいてくる足音は、時々止まる。

 いったいなぜ、こんな森の中にいるのだろう。

 少なくとも、狩りではなさそうだ。

(いや……足音、ずいぶん軽い……よな……?)

 よろよろとしている様子の足音は、この森に慣れているラースの耳にはずいぶん軽いように思えた。今日の獲物にしようと思っていたハッピーバニーよりも軽いかもしれない。

 もしかしたら、魔族の子供が森で迷子になっている可能性もある。

(――面倒だな!)

 内心で舌打ちしたのは、保護したら魔族が暮らしている地に送り届けねばならないからである。魔族の子だからといって保護しなくていい理由にはならない。

 公にはしていないものの、辺境伯家では魔族とも付き合いがある。父に頼んで、親と連絡を取ればいいか。

 木々の間を走り抜けたら、足音の持ち主と鉢合わせした。

「おい、こんなとこで何して……」