辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 メルリノは、魔物と目を合わせていた。怪我を負っていても、魔物は逃げようとする気配はまったく感じられない。ぐるぐるとうなり、牙をむき出しにしている。

「ごめんなさい、エル。もっと早く気づけばよかったのに」
「だいじょうぶ、よ? メルにぃにと、一緒、安心」

 手を伸ばして、メルリノの頭をなでなでしてやる。魔物が、こちらに向かって跳躍した。

 メルリノが再び杖を振る。

 真正面から結界に当たった魔物は、地面に転がり落ちた。だが、それが、ますます魔物の怒りに火をつけたようだ。

 立ち上がり、再び牙を剥く。

「メルにぃに、大丈夫。にぃになら、大丈夫、よ」
「……ありがとう」

 エルにできることと言えば、メルリノの落ち着きを失わせないように心がけることぐらいだろう。メルリノは、手の甲で額を拭った。

(たぶん、そろそろ騎士達が来るはず……!)