辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 町の空気が普通じゃないような。いや、この地ではこれが普通なのだろうか。ここに来たのが初めてだからよくわからない。

「どうかしましたか?」
「メルにぃに、あっち!」

 指さした先から、悲鳴が聞こえてくる。メルリノがはっとした様子を見せた。

「エル、僕から離れないでください」
「はいっ!」

 厳しい表情になったかと思うと、エルの手を握りしめたまま走り始め――と、途中で肩の上に担ぎ上げられてしまった。エルの足では、メルリノと同じ速度で走るのは無理だからしかたない。

「――逃げてください! 結界張るから!」
「メルリノ様っ!」

 悲鳴をあげていた人達は、メルリノの到着にホッとした様子だった。エルを肩に荷物みたいに担いだまま、メルリノは腰に手をかける。

 そこには剣と共に、魔術師として使うための杖が仕込まれていた。

「誰か、騎士団に連絡! 訓練通り、城に走って!」