辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

 その万が一というのは、今まで基本的に発生したことはないらしく、残されている騎士達の間にはいくぶんのんびりとした気配が漂っていた。

「ぷーりーん! ぷりん!」

 メルリノは甘いものが好きらしい。ならば、甘いもので力づけてやろうかと厨房に行ったら、肝心の卵を切らしていた。

 卵がなければ、プリンは作れない。メルリノが買い物に連れて行ってくれるというので、彼に甘えることにした。

「僕から離れないでくださいね」
「はいっ!」

 歩きやすい靴を履いて、帽子をかぶって、メルリノとしっかり手を繋いだら出発だ。

「メルにぃに、と、ふたり、はじめてね!」

 ラースやハロンの手と比べると、メルリノの手はいくぶん柔らかい。それは、彼が剣ではなく魔術で本領を発揮するタイプだから。