腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




男は軽く首を傾げながら微笑む。

本当に綺麗な顔だけど、笑顔はやっぱりどこか胡散臭い。




「旦那様から、お嬢様をお連れするようにと仰せつかっております。いつも通り車を待たせてあるのでご安心を」


「あらあら。お父様が私に会いたがるだなんて珍しいこともあるものね」



舌打ちをしたくなるのを堪えて、私はさっさと歩き出す。

一歩後ろに下がってついてくる、執事を名乗る得体の知れない男への警戒心は、絶対に解いてやらないと誓いながら。