私の注文を聞いてにっこり微笑んだ店員は、上機嫌で店の中にある青系のドレスを集めにいく。
それを見ながら、鷹司は小声で聞いてきた。
「わたくしの見立てでよろしかったのですか? お店の方に意見を求めた方が確実ではないかと」
「あら、私は鷹司のセンスを信頼しているけれど? 貴方がうちに来てから屋敷の内装も良くなってるし」
「……」
「……何よ?」
鷹司は、どこか意外そうにじっとこちらを見つめてくる。
私が眉をひそめると、彼は軽く肩をすくめた。
「いえ。お嬢様がわたくしの意見を元にドレスを選ばれるというのであれば、もっとわたくしの趣味が前面に出たデザインを提案すれば良かったと、少々後悔しているだけでございます」
「なっ、何着せる気よ!?」
「おや、わたくしのセンスを信頼しているのではなかったのですか」
ちょっと身の危険を感じて縮こまれば、鷹司は愉快そうに笑った。
だけど店員が持ってきたドレスの中から一着を選ぶときも、鷹司が自分の趣味だと言ったデザインの物が結局一番似合っている気がしたので、不本意ながらそれを購入した。



