腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




わーわー文句を言っても全て涼しい顔で聞き流される。

ようやく店に到着した頃、私の体力は半分ぐらいまで削られていた。




「お久しぶりです、岸井様。本日はどのような服をお探しですか?」




贔屓にしている予約制の服屋を選んだのは正解だった。数名の店員がいるのみの空間にほっとする。

私は勧められた椅子に腰かけながら、求める服のイメージを伝えた。

オーダーメイドも良いけれど、既製品から好みのものを見つけるというのも楽しくて好きだ。




「パーティードレスですね。岸井様はよく赤系統の色を選んでますけど、たまには雰囲気を変えてみたりしませんか?」


「それも良いわね。……鷹司、私には何色が似合うと思う?」




後ろに控えていた執事は自分に話が振られるとは思っていなかったらしく、少し驚いたような表情をして、手を顎にやりながら考え込む。




「青、でしょうか。少し紫がかった青が似合うのではないかと」


「ふうん、青ね。……そういうわけだから、紫っぽい青を中心にいくつか見せてもらえる?」


「かしこまりました」