「すっかり冷めてしまいましたが、こちらの焼きそばとたこ焼、お召し上がりになりますか?」




鷹司はそう言って、買ったのに食べる気配なく持ち歩いていた、屋台メニューの入った袋を持ち上げた。

まさかこんなものがミッションクリアの報酬だとでも言うのだろうか。




「……食べる」




とはいえ、いつの間にやらお昼時。空腹には抗えなかった。




「わたくしが食べさせてさしあげましょうか」


「いらない! さっさと割り箸寄こしなさい」




ふにゃふにゃになったたこ焼と、すっかり冷たくなった焼きそば。

こんなもの、普段なら食べられたものじゃないと思うけれど。

空腹のせいか、文化祭の雰囲気によるマジックか。はたまた葉澄と仲良くなれた達成感からか。


両方とも、すごくすごく美味しかった。