私が声を荒げると、多くの子は委縮してしまうけれど、香田葉澄は、謝りながらもほとんど気にしていない様子だった。何だかちょっと調子が狂う。
彼女は何やら戸惑った様子で私の横あたりに視線を向ける。
その視線の先にいるのは鷹司だ。
……え、まさか、その視線の先にいる浮かれた美形執事が私の連れだと勘付いた?
なんて一瞬身構えたけれど、そうではなかった。
「あれ? きっしーまいさんは、今日は一人?」
「微妙に混ざってるわよ」
初めて聞いたわよ。きっしーまいさん。
なるほど、でも良かった。そっちね。
彼女は私がいつも取り巻きに囲まれていたことを覚えていて、なのに今それらしき人たちがいないことを不審に思ったのだろう。
「まあいいわ。そう、一人よ。文化祭一緒に回るためだけに彼氏つくったにわかリア充共に裏切られたからね。悪い?」
別に隠してるわけじゃないから正直に答えた。口にすると悲しくなってくる。



