腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




「ってあなた、香田葉澄……!」



高い位置でまとめた艶のあるストレートヘアに、パッチリとした大きな目。ほわほわとした空気を身にまとった、物語のヒロインみたいなピュアな美少女。

あの高すぎる身体能力の持ち主は、私にとってあまりに予想外のそんな人だった。


……ああ、この憎き恋敵にどうして気付かなかったのかしら。

なんて、まあその理由は簡単。彼女が普段とあまりに雰囲気の違う格好をしているからだ。

奏多くんたちのクラスの出し物、コスプレ喫茶。香田葉澄は、格闘技の選手のコスプレをしているということだろう。


しばらくキョトンとしていた香田葉澄だけど、私に名前を呼ばれて「あっ」と手を叩いた。



「きっしーさん!」


「あなたに“きっしー”呼びされる筋合いはないわ! 岸井まい、よ。ちゃんと覚えておきなさい」


「え……ごめんなさい」



思い出してくれたようで何よりだけど。

愛称呼びは、私が友達と認めた子にしか許してないの!