逆光の中、見えたのはシルエット。
何者かが、ものすごいスピードのボールを力一杯蹴り上げた。
そして、天高く上がったボールをジャンプして見事にキャッチしていたのだ。
「おお……素晴らしい身体能力でございますね、彼女」
心の底から感心した声の鷹司。私も黙ってうなずく。
おかげで怪我せずに済んだ。
サッカー部の男子たちなど数人が、その人に駆け寄って何かを言いながらペコペコ頭を下げる。どうやらこのサッカーボールは、サッカー部主催のストラックアウトコーナーから飛んできたものらしい。
鷹司が「彼女」と言うまで気が付かなかったけれど、私をあのボールから守った素晴らしい身体能力の持ち主は女子生徒だった。柔道だか空手だかの選手が着る服を着ている。
サッカー部員たちが持ち場に戻っていった後、不意に彼女が振り返ってこっちを見た。
あ、どうしよう。とりあえずお礼を……
「あの、何かありがと」
言いながら、彼女の顔をじっと見る。
……そして、気付いてしまった。



