だけどそうか。
鷹司はたしか執事になるための専門学校に通っていたという話だったけど、さすがに執事学校では文化祭なんてないのね。
そんなことを考えつつ、私は無言を貫いて列に並ぶ。
そしてその列が、真ん中ぐらいまで到達したときのことだった。
「──お嬢様、お下がりください」
先ほどまでとは違う真剣な声が後ろから聞こえた。それと同時に、鷹司は私の一歩前に進み出る。
彼の視線の先に目を向けると……どこからか飛んできたらしいサッカーボールが、ものすごい勢いを保ったまま一直線で私の方へ向かってきていた。
「ひっ」
当たったら絶対痛いやつ。ていうか絶対怪我するやつ。
そう思って、私は反射的に顔を背けた。
……だけど、いつまで経ってもその凶器のようなサッカーボールが私に当たることはなかった。
さらにいえば、鷹司が身を挺して主を守るようなこともなかった。そうするまでもなかった。



