おかげで、「好きな人の普段と違う姿を見られるかも♪」と思って上がり切っていたテンションが、地の底まで沈み込んだ。
よし。見なかったことにしましょう。回れ右。
……。
嫌だああああ! 何でよりによって執事なのよ。
いったい誰よ。奏多くんにあのコスプレさせるって決めた奴! もし見つけたらただじゃおかないんだから!
「ほう、これらの衣装は手作りなのでしょうか。想像以上にクオリティが高い。柳沢様が本当にわたくしの同業者かのようにに見えました」
奏多くんを見て彷彿とさせられたどこかの誰かが、感心したように言った。
「声を掛けなくてよろしいのですか? ……ああ失礼、今お嬢様とわたくしは他人同士なのでしたね。独り言です」
あんたのせいで奏多くんのコスプレ姿が少しもキュンとこないんだけど! どうしてくれるの!?
……とつかみかかりたいぐらいの気分だったけど、他人のふりをすると宣言したのは自分なのでこらえる。
代わりにこっそりため息をついた。
ああ、すっかり私の中で「執事=鷹司」になっちゃったじゃない。



