腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



こんな目立って仕方ない男といたら、落ち着いて歩き回ることさえままならない。

最初から学校に入る気でいたのなら、せめて私服にするぐらいの気遣い見せなさいよ。まったく。

でも考えてみたら、鷹司が燕尾服以外を着ているのを見たことがない。もしかして手持ちが正装しかないのかしら。……あり得るわ。



「カジュアルな服もきちんと持っておりますよ。ただ、主の目に入る場所では正装をすると決めておりますので」


「私の考えてること先読みするのやめなさいよ」


「これは失礼。とりあえず、お嬢様が今日一日わたくしのことを他人として扱うとの旨、承知いたしました。どうぞわたくしのことはお気になさらず」



鷹司はそう言ってから周囲を見回し、「もっとも……」と続ける。



「今日に限っては、わたくしのこの服装もあまり目立たないように思いますが」



いやいや、目立たないわけないじゃない。


……と思ったけれど、どうやらその考察が正しいらしいことがしばらく経ってわかった。