腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め





「あたし、実は彼氏できたんだよね。だから文化祭は彼と回ろうかなって……」


「カレシ?」



まるで初めて習った単語だとでもいうかのように、私はその言葉をそのまま繰り返した。

彼女は「う、うん……」と、若干怯えた様子を見せつつ続ける。



「この前告られて。あたしも、まあいいかなーみたいな軽い気持ちでOKしちゃったんだ。きっしー、どうせ一緒に回る子たちいっぱいいるだろうし、あたし一人いなくてもいいかな、って」


「あ……そ、そうなの」



そうか。彼氏。彼氏ね……。

うん、まあそうよね。文化祭なんていうキラキラ青春イベント、当然私なんかより、彼氏と回りたいわよね。

私は出鼻をくじかれた気分になりながらも、仕方ないので広い心を見せる。



「それならしょうがないわね。私のことは気にしなくていいわ」


「ごめん、ありがとう」



見るからにほっとした顔をされてしまった。

まあいい。誰かが欠けるのは寂しいけれど、一緒に回るメンバーはまだいるし……。