「ああそうだ。文化祭ってもう来週よね。うちのクラスは撮影スポットだから当日の当番とかはないし、ゆっくり回れそうだけれど、どこ回る?」
二学期の中間テストが終わってから間もなく開催されるのが、桜崎祭こと桜崎高校文化祭。
一般的な高校の基準から見ると桜崎祭はかなり豪華な文化祭らしい。当日は外部からの客も多く、かなりの盛り上がりを見せるのだとか。
そして私は、そんな初めての文化祭を……実はかなり楽しみにしていた。
だって文化祭よ? もうその響きだけで青春という感じがして最高じゃない!
生徒たちの作る食べ物の質が低かろうが、舞台に上がるバンドの演奏が酷かろうが、そんなのどうだっていい。その空間自体に価値があるのだから。
今しか味わうことのできないその非日常を、友人たちとのかけがえのない思い出の一ページにする。考えただけでわくわくする。
「あ、あのさ」
私がそうやって文化祭へ思いを馳せていたところに、一人が遠慮がちに手を挙げた。
目を向けると、彼女はちょっと視線を逸らしながら口を開く。



