そして、そんな鷹司が以前提案してきたのが「愛され系悪役令嬢化計画」だった。

物語のヒロインに憧れつつも、悪役にしかなれないのなら……愛される悪役になればいいではないかという謎理論。



「ていうか、どうして今になってようやく……」



この計画のことは、言い出して以降触れられることが無かったから、この頃ちょっと忘れかけていた。



「それはもちろん、中間テストが優先事項でしたので」


「……」



ごもっとも。


鷹司は執事として私の身の回りの世話をすると同時に、家庭教師としての役割も求められている。


これまで私の元に来た家庭教師たちは、私の元へ来るまで見て来たのが優秀な生徒たちばかりだったからなのか、私の不出来さを見ては苦い表情を隠そうともしなかった。

私は勉強自体だけでなく、そんな彼らのことが大嫌いだった。

だから、授業をボイコットしたり、高圧的な態度をとったりして、自ら私の家庭教師を辞めるように仕向けてきた。