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愛され系悪役令嬢の条件(鷹司調べ)

①ヒロインとは対立の末、良い関係を築くこと。

②卑怯な手は使わず、正々堂々と勝負すること。

③気高く、芯の強い自分を持っていること。

etc.




「……というわけで、まずは香田葉澄様と和解してきてください」


「はあ? いきなり無理難題じゃない!」



鷹司が専属執事になって約一ヶ月。

不思議なもので、あれほど厄介で面倒に思っていた専属執事という存在にもずいぶん慣れてしまっていた。

だけど、慣れたのはあくまで「付きっ切りで世話をする使用人の存在」にであって、鷹司というこの奇妙な男そのものには全く慣れていない。


この男は相変わらずだ。相変わらず燕尾服に合わないシルバーのフープピアスを外さないし、相変わらずファーストネームは名乗らない。

あと、相変わらず甘いようで変態じみてもいる言葉を息のように吐く。

……まあ、そんな奴に慣れてたまるかという感じなのだけれど。