腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




私は改めて梅干しのおにぎりに手を伸ばしながら、思わずそんなことを呟いた。

弟が家にいたときはたまに一緒に食べてたかしら……。それでも生活リズムが合わなくて、そう多くはなかった。


おにぎりを二つに割って、ゆっくり口に運ぶ。

このお米、絶妙な水分量で食感がいい。そう思いながら食べ進めていくと、やがて想像以上の酸味が舌を刺激した。



「……ねえ鷹司。覚えておきなさい。私はもっと甘い梅干しが好みよ」


「おや、それは失礼いたしました」


「ふふん。さすがの貴方もそんな細かいところまでは知らなかったのね」


「ええ。ですがもう二度と忘れません」


「大袈裟ね」


「記憶力には自信がありますゆえ。好いている女性に関することであればなおさら忘れませんよ」



むせた。

鷹司が「大丈夫ですか」と涼しい顔して水をすすめてきたので、むしり取るように奪う。


どうして恥ずかしげもなくそういう言葉が出てくるのよ。ていうか本当、何を考えてるわけ?


私は上品さの欠片もない勢いで水を飲み干した。