「様子を見ていればわかりますよ。この家のシェフは元フランス料理のレストランで働いていたこともあり、朝昼夕かかわらず洋食が中心です。しかしながら、まれに和風の味付けがされたメニューが出たとき、お嬢様は口角が普段よりわずかに上がっていらっしゃいました。特定のメニューがというわけではなく、だしや醤油で味付けされたものを食べると必ずそうなので、恐らく和風の味がお好みなのだろうと」
「どんだけ見てるのよ」
「人を観察するのは癖ですので。気を悪くされたらすみません」
「仕える前から私のことをこそこそ観察してたのに、今さら殊勝な態度とられてもね」
私は短くため息をついてから、今度はおにぎりに手を伸ばす。
と、その前に、テーブルの脇に控えたままの鷹司に気付いて尋ねる。
「貴方はもう食べたの?」
「はい?」
「朝ごはん。まだならそこ座って一緒に食べれば? ずっとそこに立たれるの、落ち着かないのよ」



