腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




「梅干しを使ったおにぎりと、野菜をたっぷり入れた味噌汁でございます。シンプルな分、素材の味が試されるメニュー。もちろんどちらも最上級の食材を使っております」


「どうしてこんなメニューにしたわけ?」


「お気に召しませんでしたか?」


「……いいえ」




私はゆらゆらと湯気の立ち上る味噌汁をそっと手に取り、一口すする。


昆布だしが効いていて、味噌の量は控えられた上品な風味。大根や小松菜、しめじと具沢山で、食感も楽しい。

ほっと息をつき、鷹司の方をちらりと見て言った。



「和食は好きよ。よくわかったわね」



服やインテリアの好みは洋風だけど、実は食の好みは和風だ。これが案外、シェフを始め他の使用人たちにも知られていない。

といっても、焼き魚とか大量の小鉢を出されては、朝に弱い私は食べる気になれない。このシンプルなメニューこそが私の朝食として最適解だった。