というかそれより、この男の悪びれなさが怖い。どうしてそんな上品に笑っていられるのよ。
「専属執事ってだけで面倒くさそうだったのに、こんなヤバい男がだなんて冗談じゃないわ! 嫌よ、あんたはクビ!」
「残念ですが、わたくしの雇い主は旦那様であって貴女ではございませんよ、まいお嬢様」
「ぐっ……」
「断言いたしますが、旦那様はわたくしを辞めさせることはまずありません」
そうでしょうとも。
知らないけど、この鷹司はすっごく優秀で? そう簡単に雇えない特別な執事? なわけで。
お父様は、彼が私の専属執事となったことを大きな手柄であるかのように言っていた。
私がいくらこの男のことをヤバい変態だと訴えてもまず聞き入れることはないだろう。
「ではお嬢様、わたくしからも一つお聞きしてよろしいですか?」
「……何よ」
鷹司は突然笑みを消して、真剣な表情になった。
警戒して少し距離を取る。とはいえ、もうこれ以上の爆弾はないだろう。



