腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




「桜崎高校を含む桜崎学園は、裕福な家庭のご子息ご息女が集まっていることもあり、警備体制は厳重……と言われておりますが、実体はかなり形骸化している部分が多いようです。来客も多く警備員は昼間比較的警戒が薄いため、堂々としていれば意外に平気でございました」


「ど、堂々とって……。それで捕まったらどうするつもりだったのよ……」


「それはもちろん、雇い主である岸井家の力で揉み消してもらおうと」



そろそろ頭を抱えずにはいられなかった。



「ありえないありえないありえない……何コイツだいぶヤバい奴じゃない」


「でも実際大丈夫だったでしょう? ここ数週間、毎日学校へ忍び込んでお嬢様の様子をこっそり見させて頂いておりましたが、一度も咎められたことはございませんよ」


「……待って、忍び込んだのって今日だけの話じゃないの!? ていうか待ちなさい、今日まで何週間もずっと私のこと監視してたわけ!?」



驚愕の事実に声が裏返った。

最初に可能性を疑った「私のことを調べまくっているストーカー」もあながち間違いではなかったようだ。