腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




自慢じゃないけど私は勉強が苦手だ。並大抵の苦手さじゃない。もうすっごい苦手。

小学生の頃から何人もの優秀な家庭教師が雇われては、その全員が数か月も経たないうちに私の低すぎる学力と生意気な性格に耐えられず辞表を提出してきた。というかそうなるよう仕向けてきた。

辞めさせた人数? そんなもの20を超えたあたりで数えるのを止めたわね。


今通っている桜崎高校だって、いわゆるコネ入学だし。

お父様は本当はもっと有名で多くの資産家の子息令嬢が集まる学園へ入学させようとしていたみたいだけれど、そんな学校の試験は当然受からなかった。

桜崎高校も決して試験は簡単ではなかったけれど、この学校の理事長はお父様の後輩だそうで。たぶん点数かなりいじられてたんじゃないかと思う。



「あなたはいったい何ヶ月で辞めるかしら。見ものだわ」


「一年。この期間より前にわたくしから契約を解除することはありえませんよ」




嫌味っぽく言ったのに、ずいぶんとはっきり、自信ありげに宣言された。

ちょっと眉をひそめたけれど、まあ口では何とでも言えるし、彼はまだ私のことをほとんど知らないし。