腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め





「あーもう! 腹立つ……」



自分の部屋に入るなり、私は手近なクッションを壁に投げつけて怒りを発散させた。

今に始まったことではないけれど、お父様と話すのは本当にストレスが溜まる。

イライラがおさまらなくて、もう一度クッションを投げるため拾い上げる。

……と、投げる直前で後ろから手を掴まれた。



「お嬢様、手首を痛めてしまいますよ」


「……これぐらいじゃ痛めないわよ。というかあなた、いたの」



ようやく気が付いたけれど、お父様の部屋を出た後も私の後ろについてきた鷹司は、当然のように私の部屋の中にいた。



「わたくしはお嬢様の専属執事でございますから」


「身の回りの世話をするって言ってたわね。……ふん、悪いけど私、自分のことぐらい自分でできるから」


「それは頼もしい。ですがそれだけではなく、お嬢様の教育係というものもわたくしの業務に含まれております」


「あー、なるほど。執事兼家庭教師ってわけね。……ちっ、抜かりない」