お父様はそこで一度言葉を切り、この上なく得意そうに唇の端を上げた。
「そしてうちとは一年間の契約を結んでくれた。これは鷹司君の経歴から見ればずいぶん長い方だ」
私は思わず眉をひそめる。
何それ。いったい何様のつもりなのよこの鷹司という執事は。
そりゃあ、ある程度はわかる。執事にだって職場を選ぶ権利ぐらいはある。
だけどお父様の話からは、それよりももっと上から目線な印象を受けた。「この俺が仕えてやる。だが一年だけだからな」みたいな。
「もう一度言うけれど、私、専属執事なんていらない」
「こちらももう一度言うが、お前の意思なんてどうでもいい」
じっと睨み合い、膠着状態が続く。
我慢できずにチッと舌打ちをすれば、お父様は私を睨んでわざとらしくため息をついた。
「鷹司君に仕えられたことがある。それだけで、馬鹿で無能で出来損ないのお前の価値がほんの少し上がるんだ。それ以外に目的はない。お前に拒否権もない」



