お父様は、私の背後に控えていた鷹司に手招きする。
呼ばれた鷹司は恭しく一礼して、お父様の隣に並んだ。
「彼は鷹司君だ。もう聞いているのかもしれないが、今日から専属執事としてお前の身の回りの世話や教育をしてもらう」
「そんな話初耳だったのだけど」
「言ってなかったからな」
「私のことなのに一言の相談もなく勝手に決めて、不愉快だわ」
「何故お前の意思を確認する必要がある?」
逆にどうして確認しなくていいと思うのよ。
昔からそう。お父様は、私のことを金のかかる所有物ぐらいにしか考えていない。
「鷹司君は、オランダにある執事専門学校を歴代最年少の17歳で卒業してから、短期間のうちに様々な財界人に仕えてきた。その有能さは誰もが認め、最近では彼に仕えられてこそ一流だと言う者まで現れだしている」
「……私は聞いたことないけれど」
「それはお前が周りの話に耳を傾けていないからだろう。有名な話だ。そしてこれも有名な話だが……彼は自分が気に入らなければどれだけ金を積まれても仕えず、例え仕えたとしてもごく短期間の契約しか結ばない」



