腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




「お父様? お呼びだそうね」


「……まいか。入りなさい」



わざと乱暴にドアを開けてやろうと思って手を伸ばした。だけど、何故か横から手が伸びてきて、先に取っ手を掴まれた。

そのまま鷹司は、音ひとつたてず丁寧に扉を引く。

私は思わず鷹司を睨んだ。おかげでお父様への苛立ちを示し損ねた。


仕方がないのでそのまま腕を組み、部屋の奥の執務机にいるお父様の前までずんずんと歩いていく。



「久しぶりじゃないお父様」


「お前は相変わらず親への態度がなっていないな」


「その親がこんなのだからじゃないかしら?」



私はこの父親と何かと馬が合わない。お母様がまだ生きていた頃はもう少しましだったそうだけれど、私は今じゃ完全に見放されている。

お父様は頭痛がするとでも言いたげに額を押さえ、わざとらしく大きなため息をついた。



「まあいい。話は手短に済ませる」


「そうしてもらえると嬉しいわ」


「……鷹司君」