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「洸さん、ちょっと話…いいですか?」
水惟は洸をミーティングルームに呼び出した。

「あの…聞いたんです、深山さんから。」
「ああ、水惟を深端にって話な。」
洸の口から言われ、水惟の胸がキリ…と痛む。

「…私、深端に行った方がいいですか?」
「え?」

「その…私、本当は洸さん…ていうか…リバースに迷惑をかけちゃってたのかなって思ってて…」
水惟は申し訳なさそうに眉を下げた笑顔で言った。

「は?」
「最近まで、深山さんがリバース(ここ)に来て打ち合わせできなかったのって、元妻(わたし)がいたからですよね。」
「水惟…」

「気を遣わせちゃっててすみませんでした。きっと他にもそういうのが—」
「違うって!」
どんどん話を進める水惟を、洸が止めた。

「たしかに蒼士は最近リバースに来るようになったし、それは今回の水惟の件と関係が無いわけじゃないけど、長い付き合いでもうちに打ち合わせに来ないクライアントなんていくらでもいるよ。深端だけが特別なわけじゃない。」
「…でも…」
水惟にはずっと気にしていることがある。

「私…無理矢理リバースに入れて貰ったから…」

「水惟?何言ってるんだよ。」
洸が眉間にシワを寄せる。