「やっぱり難しいか?」
洸が訊ねた。

「今回の件は青山にリニューアルオープンするカフェ併設のアートギャラリーの案件で、イラストを使った女性的なデザインを希望されてる。それに深端の名前だけじゃなくて、うちとのコラボでダブルネームみたいな扱いでできる仕事だ。まずはメインビジュアルを決めてポスターを作って、そこからフライヤーとかパンフレットに展開していく予定らしい。」

(…注目されやすくて、条件の良い案件…)

「水惟が広告賞もとったタイミングだし、俺としては水惟が適任だと思ってるけど…深端に行かなきゃならない案件だから無理にとは言わない。」

(………)
水惟は少しだけ考えた。

「やります。やりたいです。」
洸の心配を払拭しようと、キリッとした目つきで答えた。

「あれから…リバースに入って4年も経ってるし、私は大丈夫です。でも…あちらの…深端の方こそ大丈夫なんですか?私が担当するって…」
水惟は今度は少し不安そうな表情と声色で言った。

「…俺が水惟に依頼するつもりだってことは、深端側にも伝えてあるから心配はいらないよ。」
「そうですか…。」
水惟は少しホッとした。