——— これ…キミの作品?

——— すごく良い作品だね、なんていうか—


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デザイン事務所・リバースデザイン
「シャルドンエトワールのポスターの件、3校提出しました。簡単な修正だけだったので、デザイン的には多分これで校了になると思います。」

藤村 水惟(ふじむら すい)・30歳。
デザイナー歴8年、リバースデザインに勤務して4年のグラフィックデザイナー。
クールそうと言われる落ち着いた顔立ちで、暗めのブラウンのミディアムロングヘアーに、さりげなくベージュでインナーカラーを入れている。
グラフィックデザイナーという職業柄、服装は日によってオフィスカジュアルの日もあれば、外部との打ち合わせがなければ今日のようにTシャツの日もあるなど自由だ。

「おつかれ。じゃあ今から新規案件の打ち合わせしてもいいか?」
リバースデザイン代表の生川 洸(うぶかわ こう)が言った。

リバースデザインは大手広告代理店から独立した洸が6年前に設立した会社だ。
従業員数は洸と水惟を含めたデザイナー6名とライター1名、営業2名、経理事務が1名の合計10名。
リバースデザイン名義の仕事として、広告やお菓子のパッケージ、フリーペーパーのデザインなども手がけるが、洸が所属していた広告代理店からの下請けの仕事なども請けている。

洸自身はデザイン系の雑誌にも特集が組まれるなど、KOH UBUKAWAとして注目されているデザイナーだ。
黒縁メガネにガッシリした熊のような体型で、キャラクター的にも人気があり、会社でも上司としての信頼は厚い。
水惟は洸の広告代理店時代の部下だった縁で4年前にこの事務所に入社した。