「あぁあ~ 美織先輩さえいなかったらなぁ~」 「えっ?」 「だって、環先輩の婚約者なんですよね?」 「あっ……うん……」 「環先輩、言ってましたよ。私と付き合いたいけど、家族に勝手に決められた婚約者がいるから、自由恋愛は無理だって」 「……っ」 「私、そろそろ行きます。シャーペン、環先輩に渡しておいてくださいね」 「あっ……うん……」 「あと集合場所、間違ってますよ。裏門横の駐車場に、大きなカバンを持った2年生たちが集まってましたから。それじゃ~」