『今の時代、そんなことをする吸血鬼はいないよ』と、おじいちゃんは笑っていたけれど。

美織ちゃんがいけにえされてしまう可能性が0.1%でもある限り、俺は安心できない。




おじいちゃんはもう、この世にはいない。

吸血鬼ついて教えてくれる人は、だれもいなくなってしまった。

俺一人で、美織ちゃんを守りきらなければいけない。



あと1年なんだ。

美織ちゃんが18歳になる、来年の秋まで。



吸血鬼から美織ちゃんを隠し通し、18歳の美織ちゃんの誕生日に婚姻届けを提出。

そうすれば美織ちゃんは、『稀血(まれち)誘い人(いざないびと)』という宿命から逃れることができる。



あと1年。


それまでに……


他の男子に、美織ちゃんがとられなきゃいいんだけど。