――キーンコーンカーンコーンッ……。


オルゴールの鐘の音が放課後を告げた瞬間、私はカバンを持って教室を飛びだした。

1分、1秒でも時間を無駄にしないように、最短ルートで“目的の場所”へと向かう。

着いたっ!

教会のような造りの美しい建物。

その扉を開けると、6階建ての吹き抜けの空間に、本がびっしりと並んでいる。

ここは、“校内にある図書館”だ。






物心ついたころから、本を読むことに目がない私。

保育園では、ほとんど人と遊ぶことなく、たったひとりで本を読むことに夢中で。

小学校や中学校では、ひとりで図書室に通いつめて、すべての本を読みあさるほど、本の世界にのめりこんでいた。

高校生になっても、ひとりで静かに本を読みたい――。

中学3年生のとき、進路でその願いが叶いそうな高校を調べていると、“とある学園”を見つけた。

そこには、日本で最も美しいと言われている図書館があって、まだ世に知られていない文献(ぶんけん)やすでに絶版となって手に入らない書物がたくさんあるという。

しかも、この学園の生徒であれば、卒業してからもその図書館を利用することができるという特典つき。

三度の飯より読書が好きな私にとっては、まさに一目惚れの学校だった。