【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。



 なのに百合原さんは、そんな私のことを「かわいいね、奏音」と言ってくる。

「えっ……かわいい、ですか?」

「かわいいよ、奏音は。そんなこと考えてるなんて、かわいすぎる」

 どこがかわいいのか、分からない。何を見てかわいいと言っているのだろうか。
 恋愛音痴な私には、全然分からない。

「えっと……。かわいいの意味が、分かりません……」

「かわいいはかわいいだよ、奏音」

 私の頭をポンポンする百合原さんは、とても嬉しそうに笑っていた。

「かわいいは……恥ずかしいです」

「恥ずかしがる奏音もかわいいね」

 百合原さんの言葉一つ一つが妙に恥ずかしくて、照れてしまう。

「かわいいと言われると……どういう反応をしたらいいのか、分かりません」

「奏音はそのままでいいんだよ。むしろそのままでいてほしいかな、俺は」

「そ、そのままで……?」

 そのままが……分からない。

「でも俺にとって、奏音のそういう反応は本当に新鮮だよ。 恋愛未経験の奏音が、少しずつ俺との距離を縮めてくれることが、何より嬉しいけどね」

「え……?」

「奏音のちょっとした仕草も、奏音の恥ずかしがる仕草も、全部俺にとっては幸せなことだから。 これ、覚えといて」