りょーくんにとって直人くんは、本当に大切で、たった一人のお兄ちゃん。そのお兄ちゃんが、自分の目の前で、自分を庇って死んでしまった。
その事実は、まだ八歳の子供には大きすぎる。
だからりょーくんは、直人くんを亡くしてから、どんどん塞ぎ込んでいった。挨拶しても、返してくれず、クラスメイトと話もせず、担任の先生には喧嘩を売り、成績も悪くなってしまっていた。
私も、りょーくんと喋るのが怖かった。直人くんのことを思い出してしまいそうで。
私とりょーくんの距離もだんだんと離れていき、中学校では疎遠になってしまった。
本当は、心の中でわかっていた。
りょーくんが私よりも大きな悲しみと、後悔をしていること。だれかに助けを求めていたこと。
でも、りよーくんを励ましてあげることもできなかった。
だって、自分の悲しみしか考えられなかったから。もしかしたら、りょーくんを後悔の海から助けてあげられたかもしれなかったのに。
もし、私があの時気づいてりょーくんに「危ないよ!」と言ってあげられてたら。もし、あの車が走ってこなければ。もし、私がりょーくんを遊びに誘っていなかったら。
...もし、りょーくんと私が友達じゃなかったら。
そんなことを考えても意味なんかないこともわかっていたけれど、悲しみを埋める方法はそれしかなかった。
———————それが、九年前の話。
その事実は、まだ八歳の子供には大きすぎる。
だからりょーくんは、直人くんを亡くしてから、どんどん塞ぎ込んでいった。挨拶しても、返してくれず、クラスメイトと話もせず、担任の先生には喧嘩を売り、成績も悪くなってしまっていた。
私も、りょーくんと喋るのが怖かった。直人くんのことを思い出してしまいそうで。
私とりょーくんの距離もだんだんと離れていき、中学校では疎遠になってしまった。
本当は、心の中でわかっていた。
りょーくんが私よりも大きな悲しみと、後悔をしていること。だれかに助けを求めていたこと。
でも、りよーくんを励ましてあげることもできなかった。
だって、自分の悲しみしか考えられなかったから。もしかしたら、りょーくんを後悔の海から助けてあげられたかもしれなかったのに。
もし、私があの時気づいてりょーくんに「危ないよ!」と言ってあげられてたら。もし、あの車が走ってこなければ。もし、私がりょーくんを遊びに誘っていなかったら。
...もし、りょーくんと私が友達じゃなかったら。
そんなことを考えても意味なんかないこともわかっていたけれど、悲しみを埋める方法はそれしかなかった。
———————それが、九年前の話。

