とりあえず、みなみと一緒に私の席に向かい、荷物を片付ける。すると、みなみが
「転校生、男の子だって」
と耳打ちしてくる。
男の子、かぁ...
「仲良くなれたらいいね!」
みなみは、かなり楽しみにしているようで、目をキラキラさせて私を見てくる。私は、たじたじになりながら、
「そ、そうだねー」
と言った。

ガラッ
教室の扉が無造作に開く。
「あ...」
登校してきた人を見たとたん、みんなが一斉におしだまった。シーンとした教室の中を、存在感いっぱいに青野諒(あおのりょう)が入ってくる。
なんで、あいつが?

青野は、私の幼馴染。
...そして、かなりの女子嫌い。
バレンタインチョコを食べずに捨てていたり、女子に触られそうになったら手を振り払ったり、ほとんど学校をサボっていたりその他諸々...

そのせいか、みんなは青野に怯えていて、近づいたら大変なことになるという噂までできてしまった。そんなこんなで、席についた青野は近くにいた男子と喋り出した。
教室の雰囲気が元に戻っていく。
みなみが、
「青野くんがきた理由、知ってる?」
と私に聞いてくる。
青野がきた理由なんて、一ミリも知らない。
私は1時間目の準備をしながら、
「知らないよ」
と答える。
「そっかぁ〜、そろそろ戻るね」
みなみは、そう言いながら席に戻っていった。

ちょうどその時、
キーンコーンカーンコーン
ホームルームの始まりのチャイムがなった。