「おはよー!」


教室のドアをガラッとあけると、
 
「りさぁー!聞いてぇ〜っ」

と言いながら、いきなり、みなみがとびついてくる。
 

「わっ、!」
みなみの勢いを受け止めきられず、二人して後ろに転倒っ!






そのまま、私が下敷きに...。






みなみはすごい勢いで私の上からとび退き、
 「りさ、大丈夫?」
と私の前へ手を出してくる。




朝っぱらから、なんだこの有様は...(泣)
 

「いてて...」


床にぶつけたお尻をさすりながら、みなみの手をつかんで立ち上がる。







........30秒ほど前にみなみの下で潰された『私』こと、《真谷りさ(まみやりさ)》は、漫画と運動が大好きな中学生。

そして今、心配そうな顔で私を見ている黒髪のショートヘアの女の子が《春原みなみ(はるはらみなみ)》。めちゃくちゃ美少女!
笑顔がすっごくかわいいの!!



っていうか!


「そんなに慌ててどうしたの?」



期待に目を輝かせながら、みなみは声をひそめて私に耳打ちする。






「実はね、今日、転校生が来るんだって!」






.........。


「へぇ」








「え、反応薄くない⁉︎」


うん、私がそれだけの理由で押しつぶされたなんて、考えたくもない...。


悲しくなりながら、みなみに尋ねてみる。




「みなみ、宿題終わった?」



実は今日は、9月1日。今日から二学期が始まるのだ。
すると、おずおずとみなみが私にプリントを差し出してくる。




「あのぅ、ありがとう。プリントかしてくれて」
「え?あ、そっか」



私はおどおどしながらプリントを受け取る。すっかり忘れてたけど、夏休みの数学のプリントを貸してたような気がする。


返されてなかったってことかっ!ゆるさん!


みなみにいらだちを伝えようとした時、
「私ね、夏休みの宿題おわったよ!りさのおかげ!」


と、にっこり笑顔で言われて、何も言い返せなくなる。ふう、今日も大変な一日になりそう...。