だからといって、誕生日プレゼントにされるのは照れる。


 僕のそんな反応すら、佐伯は楽しんでいる。


「これから、いろんな写真が増えるといいな」


 そう言われると、このプレゼントの価値が一気に上がった気がした。


「お。夏川、柚木先輩は諦めて、あの後輩に乗り換えたのか?」


 背後から聞こえ、背筋が凍った。


 振り向くと、クラスの中心人物である高宮君が、アルバムを覗き込んでいる。


『いい加減、認めろって。柚木先輩が好きなんだろ?』


 決めつけてかかる声を、思い出す。


 あのときと同じような空気が教室に流れ、喉が閉まった気がする。


「あの素直そうな子なら、狙えそうだもんな」


 高宮は僕の手からアルバムを取り上げた。


 僕と古賀のことをからかってくる人は何人かいたけど、これほど悪質な予感がしてならない。


「……やめてくれ」


 僕が立ち上がって取り返すと、教室内が静まり返った。


 前の僕は、この空気に負けて言葉を飲んだ。


 でも、今は負けたくない。

 負けてたまるか。


「その言葉は、花奈さんにも古賀にも失礼だ。二度と、そんなふうに言うな」