「栄治、ハピバ」


 誕生日の朝、自分の席でホームルームが始まるのを待ちながら、スマホでゴールデンウィークの写真を振り返っていると、それを邪魔するように、佐伯がプレゼントを差し出してきた。


 それは意外と大きくて、スマホの画面は簡単に見えなくなった。


「……ありがとう」


 プレゼントは嬉しいけど、差し出し方が気に入らなくて、迷惑そうな言い方になってしまった。


「開けてみて」


 僕が受け取ると、佐伯はまったく気にせず、それどころかニヤニヤとしながら言う。


 なにか企んでいるのは一目瞭然だ。


 警戒しながら、包装を解いていく。


 出てきたのは、マット素材の青色表紙でできたアルバム。


 佐伯にしてはオシャレなものだけど、表情の割に普通のものが出てきて、薄い反応になってしまった。


 だけど、佐伯はまだ嫌な笑みを浮かべている。


 まだなにか仕込んでいるのかと思って、アルバムを開いてみる。


 一枚だけ、写真が入っている。


 海での、僕と古賀の写真だ。


 佐伯と氷野にからかわれた瞬間の写真。


 楽しかった記憶はあるけど、こうして写真に残されていると、恥ずかしくなる。


「なんでこれ?」
「栄治が写真を再開した、記念の写真だろ?」
「それはそうだけど……」