夏川先輩がまっすぐ伝えてくれるから、私のほうが照れてしまう。


「古賀が好きだよ。だから、僕の彼女になってくれませんか」


 嬉しい。


 それだけの感情をたった一言で表しきれないと思って、私は夏川先輩に抱きついた。


 耳元で、先輩の小さな笑い声が聞こえる。


「久しぶりに、古賀に突撃された」
「それ、褒めてます?」


 少し離れると、夏川先輩は見たことないくらい、優しい表情をしていた。


 だけど、私はこの表情を知っている気がした。


「それで、古賀……返事を聞かせてもらっても?」


 私は夏川先輩と離れ、笑顔を見せる。


「私も、夏川先輩が好きです。先輩の、彼女にしてください」


 すると、夏川先輩は大きく息を吐き出しながら、その場に座り込んだ。


「古賀の気持ちは知ってたけど、やっぱり緊張するものだね」


 夏川先輩の困った笑顔に見惚れて、聞き流すところだった。


「知ってたって、え? どういうことですか、先輩」
「内緒」
「ちょっと、先輩?」


 先輩が笑って逃げていくから、私はそれを追いかける。


 気持ちを伝えあったからだろうか、私の心は軽かった。