狼上司と秘密の関係

小ぶりなチョコレートケーキが3種類、白いお皿の上に乗っている。
どれも一口サイズだけれど、とても美味しそうだ。

「うん、うまいな」
上にベリーが乗っているケーキを一口で食べて大和は満足そうに頷いている。

「もしかして甘党ですか?」
「そうでもないけど、甘いものは嫌いじゃないよ」

そう言って2つ目もペロリと平らげてしまった。
絶対に甘党でしょ。

と、心の中で突っ込みながら千明もショコレートケーキを口に頬張る。
ほどよい甘みが口の中一杯に広がって幸せな気持ちになれる。

「それで、昨日のことなんだけどな」
先にケーキを食べ終えた大和が咳払いをして本題に入ろうとするので、千明は慌ててとめた。

「まだケーキがふたつ残ってるんです。この幸せを感じてからにしてください」
そう言うと大和は目を丸くして瞬きを繰り返し、それからフッと表情をゆるめて笑った。

その笑顔にまた心臓がドキンッと跳ねてしまい、千明は慌てて視線をそらした。