狼上司と秘密の関係

☆☆☆

約束時間の5分前にホテルのロビーにやってくると、大和はそこで待っていた。
ノーネクタイのスーツ姿の大和は普段よりもスラッとして見えて千明はドキドキしてしまう。

観光地の体験施設では、子供の相手をすることも多いからみんなジーンズにTシャツにエプロンという動きやすい格好しかしない。
グレーのスーツが似合い過ぎていて目がチカチカしてしまう。

「すごい、見直した」
大和が千明の薄いピンクのワンピース姿を見て笑顔になる。

長い髪の毛は編み込みにしてアップにしている。
アクセサリーは小さなダイヤのついた控えめなネックレスだけで、清楚感を出したつもりだ。

「菊池さんこそ、まるで別人みたいですよ」
軽口を叩きながらも千明の心臓は飛び跳ねていた。

自分で指定した場所のくせに緊張でおかしくなってしまいそうだ。
それからレストランへ入ると、一番景色のいい席に案内された。

「へぇ、ここってこんなにいい景色なんだな」