主に、氷と塩だ。
それを転がすことで材料は混ざり合い、冷えて固まってくれるのだ。
だけど小学生低学年の子にそれを説明するのは難しい。

千明はアイスができあがるまでの工程を印刷した紙をみんなに配った。
今日の参加者は県内から来た地区の子供会メンバーだ。

親たちが大きなスプーンで玉の中のアイスをすくって、コーンに乗せて子どもたちに食べさせ始めている。
千明はそれを微笑ましい気持ちで見ていた。

そして思う。
いつかは自分も子供をつれてこんな風に遊びき来たいと。
千明は元々子供好きで、保育士の免許を持っている。

けれど保育士としての仕事は肌に合わず、1年足らずでやめてしまった。
せっかく子供たちを見て癒やされていたのに嫌なことを思い出してしまいそうになり、頭をふる。
気を取り直して流し台へ視線を向けると、同僚の2人がせっせと洗い物をしてくれていた。

千明も慌ててそれに加わる。


「ごめん、ぼーっとしてた」


隣で大きなボールを洗っている小林梨江に声をかけて流し台へ向かう。
学校の理科室にあるような、長くて大きなシンクだ。

ここならどれだけ大きな洗い物ができたって平気で洗うことができる。
小柄な子供ならすっぽりはまってお風呂になってしまうだろう。


「そんなに慌てて手伝わなくても大丈夫だよ」


梨江が苦笑を漏らして言った。