アマリリスがテオドールと再開してから二カ月が経ち、王城で開かれた夜会にルシアンとふたりで参加していた。

 ルシアンの腹黒教育は続いているが、最近では後半からは教育を切り上げて社交にも力を入れている。王太子妃として人脈作りも疎かにできないため、苦肉の策だった。

 日に日にアマリリスの評価が高まり、今ではこぞって貴族たちが関わりを持ちたいと近づいてくる。バックマン公爵夫人の後押しもあり、夫人たちと談笑する場面も増えた。

「アマリリス。貴女のおかげでようやくナタリーが元気を取り戻したわ」
「まあ! ナタリー様、お久しぶりでございます。お元気そうでなによりですわ」
「アマリリス様! とてもお会いしたかったです………本日はお礼を伝えたくて伯母様にお願いして連れてきてもらったのです!」

 優雅なカーテシーを交わして、ふたりの麗しい令嬢は笑顔で語り合う。

「あの時、アマリリス様がきてくださらなかったら、わたくしはずっとあのままでした。心が壊れていつか自身を害していたかもしれません。本当に助けていただき、ありがとうございました」
「私はただお話を聞いていただけすが、お役に立てたようなら嬉しいことですわ。ブロイス伯爵夫妻の愛情をたくさん受けられたから、回復も早かったのでしょう」

 バックマン公爵夫人から相談を持ちかけられたのは、アマリリスがテオドールと再会を果たした直後のことだった。